生物工学の研究者 四方哲也氏について

生物工学の研究者 四方哲也氏について

大阪大学情報科学研究科元教授・生命機能研究科元教授 四方哲也氏は、高校時代、3年間同じ組で、気が合って、大学、大学院も同じ大阪大学で、付き合いがあったし、社会人になってからも、年賀状のやりとりなどしていた。彼は、高校時代、そんなに勉強ができる人ではなかったが、数学とか生物、化学の時間に、先生にそれは何でなのかとすごくしつこく質問し、理論を根本から理解しようとする姿勢の人だった。大阪大学工学部発酵学科(当時)に現役で入学し、大阪大学大学院で、遺伝子工学の分野で独創的な研究をやり、大阪大学の教授までになった。大学院生時代の彼は、従来からそのように言われていた学説を疑い追求したら、実は違っていたということを発見した(確か、そんなこと)とか、彼から直接、人真似の研究はやらないと聞いたことがあった。

2年くらい前に、研究不正使用のことが問題になり、彼の学生、助手、助教授時代の元教授、彼の下の確か助教と共に告発された。不正使用は、以前の教授(彼の指導教授か、それ以前のもっと前の教授からかは不明)の頃から慣例で行われていて、彼発案のことではないらしい。最終的には、不正使用の金額を返還するということで、刑事事件になることを免れたが、彼は大阪大学を懲戒解雇された。私は、彼は、すごく優秀な奴なのに、何でそんなバカなことをやったのかと思ったし、この不正問題で学術界でやっていくことや製薬メーカーに入ることは多分不可能だろうと思って、処分以後のことを心配していた。

昨夜、なんとなく、彼は今どうしているのかと、Wikipediaで調べた。中国の大学の研究所に研究所所長として招聘されたことを知って、よかったと思った。しかし、それと同時に、よりによって、中国なのかとも思った。彼の研究は、人工生命を作るとかの基礎研究的なもので、特許が絡むような、莫大な利潤を生む製薬の研究ではなかった。招聘の条件で、人工生命の研究もやっていいが、遺伝子工学を用いた製薬の研究、あるいは、研究所内の部下への製薬の研究の指揮、指導をやるように要求されたかもしれないと思った。アメリカに行ったということなら、少しはよく思ったが、中国に行ったというのは、日本の研究の国際的レベルにはマイナスになるかもしれないし、不正以前は、ある程度成果主義を要求されるにしても自由に人工生命の研究をやっていたが、中国では国策で金になる製薬の研究・開発を要求され、強いプレッシャーにさらされるかもしれない。しかし、不正を働いた人にはそれなりのペナルティーを課されるべきだとは思う。

あと、彼が、中国の大学で研究者のポジションを得たからといって、彼の今後の研究が、日本の学会で評価されるかというと、多分無理だろうと思うし、国際学会ではどうかだが、これに関しては私は分からない。ただ、私は、彼には、今後も以前のように独創的な研究をやって活躍して欲しいと思う。